将棋をやっているとき、「勝ちたい」と思っているのに、気持ちが空回りしていて、なにもせずに負けてしまう子がいました。勝負を左右する口出しはしないようにしているのですが、先日「もう負けると思っているなら、負けるまで王手をし続けなさい」とピシッと伝えると、なんと勝ってしまいました。そして、この成功体験を切っ掛けに強くなるのかと期待していたのですが、すぐに元に戻ってしまいました・・・。

観察をしていて色々と思うところはありましたが、一番気になったのは、勝つという漠然とした「大きな目標」はあっても、勝ちにつなげるための「小さな目標」がないために、いつ何を考えればいいのかが分かっていないのではないかということです。

そこで、写真のようにオセロのコマを利用しました。王手をしたり、自分の駒を成らせることが出来たら1ポイント獲得。オセロのコマを1枚、黒から白に変えます。最初はルールだけを整えました。将棋でも負けていましたが、ポイント勝負でも大敗していました。ときには、1ポイントも取れずに負けることもありました。

将棋で勝つ子はポイントも取っていることを見える化してあげた後、「負けてもいいから、5ポイント取ること」という中目標を共有しました。すると「王手をする」「成る」という小目標を達成するために、序盤から考えはじめるようになりました。また、負けが見えてきても、せめて5ポイント取ろうと粘り腰を見せるようにもなりました。目に見えて良い勝負をするようになり、勝つことも出来ました。本人も今まで以上に将棋が楽しくなったようです。

気が付いたら、中目標を8ポイントに変えたり、主体的に動けるようになりました。私も見える化と目標のブレークダウンの大切さを改めて学ぶことが出来ました。