音読をやっているとき、同じ場所で毎回読み間違えをしてしまう子がいます。最初の5回はどこをどう間違えているかを指摘してあげたのですが、それでも間違え続けていたので、間違えがある事だけを伝えるように変えました。振り仮名も振ってあるので読めないはずがないのです。

 ところが、ほかの子が暗誦をして次の文章に進んでしまったため、聴いて気づくチャンスがなくなってしまいました。そのため、「今日ダメならもう教えてあげるしかない」と心の中で覚悟を決めました。毎日3回読んでいるのですが、1回目はいつも通りサラッと読んでしまい気づけません・・・。2回目を読む前に「今も丁寧に読んでいたけれど、その読み方じゃ気づけないよ」と声をかけました。祈りながら聴いていると、遂に自力で気づけました!

 次の日、その子と二人で話をする機会がありました。その際、「〇〇は気づけない子?それとも気づける子?」と訊くと「気づけることもある」というので、「ごめんごめん、もう一度訊くよ。〇〇は絶対に気づけない子?それとも気づける子?」と訊いて「気づける」と言わせました。「今は気づくのに時間がかかるかもしれないけれど、少しずつ気づくコツがつかめてくる。そうしたら、ほかの子たちと同じようにもっと簡単に気づけるようになるから。だから、がんばろう!」と伝えました。ふと見ると、頬に涙の後がついてました。嬉しかったそうです。

 たった1文字の読み間違えですが、それに苦労しながらも自力で気づけたからこそ、大きな自信になります。教えてあげることは簡単ですが、自信にはつながりません。早く読めることが上手に読めることではありません。特に低学年のあいだは、ゆっくりでいいので丁寧に間違いなく読めることが大切です。「ゆっくり」というのは、読んでいて自分が理解できるスピードです。