読書感想文は、誰もが多かれ少なかれ苦労する宿題だと思います。読書感想文は、大きく2つに分けられると考えています。読解のパートと作文のパートです。一つずつでもハードルが高いですが、2つが一緒になるためにハードルがさらに高くなります。時間もかかるために「やりたくない」という気持ちも生まれやすいですね。

 しかし、1冊の本をこれまでよりももうちょっと深く理解できるようになる数少ないチャンスなのではないかと思います。あるいは、自分(親)が身につけた本の読み方を子どもに授ける数少ないチャンスともいえます。子どもが読むだけでなく、親も同じ本を読んで感想を言い合う楽しい時間にすることも不可能ではありません。個人的には、読書感想文を書き終えたという結果ではなく、プロセスを楽しんでもらいたいです。そして、面倒くさいけれど、「楽しむ」という姿勢を親が見せてあげることが大切ではないかと思います。もちろん、楽しんでいるフリで構いません。

 学校から本を指定されていないのであれば、低学年の間は背伸びをせずに絵本を選ぶことをおすすめします。本を選ぶ場合でも、普段読んでいる本よりも少し簡単な本がおすすめです。読み終えることが目的ではなく、理解して感想を書くことが目的だからです。

 さて、本ではなく、絵本であることの一番のメリットは文章が短いことです。何度も読み直して、理解を深めることができます。1回目よりも2回目のほうが分かったという経験を簡単に積ませてあげることができます。分かったと思っていても、もっと深く理解することが可能だったんだと知れることはとても有意義です。もちろん、20分くらいかけて、ゆっくりと読み聞かせをしてあげることも可能です。しっかりと理解できれば、読書感想文を書くハードルはかなり下がります。

 感想文を書き始める前に、子供に「どう感じたのか?」「それはどんな場面なのか?」「なんでそう思ったのか?」「あなたならどうする?」などなどをヒアリングしてあげると、感想文を書くのがスムーズになると思います。聞くだけでなく、子どもが感じたことに対して、「へー、そんなこと考えているんだ」と感じたことを口に出してあげるとよりよいと思います。会話を録音しておいてあげると、聞きながら下書きをすることが可能になります。親の質問に対してうまく回答できなければ、「じゃあ、そこを意識してもう一回読んでごらん」と言えばいいだけです。こういうことを繰り返していくことにより、どんなことを意識して本を読んでいけばいいのかを自然と学んでいけるはずです。100ページも200ページもある本をもう一度読み返すのは大変ですが、絵本なら簡単です。ページ数の少ない絵本を選ぶことにより、読解能力を向上させたり、ストーリーの型を身につける(気づく or 意識する)切っ掛けにしてあげることができると思います。

 大切になるのが親子の会話です。普段から会話を積み重ねていないとなかなか前に進まないかもしれません。我が家では、映画を見に行った後は口頭で「何をどう感じたのか」を教えてもらっています。また、どこかに連れて行ってあげたときにも同じように確認しています。もちろん、最初は嫌がりますが、「どんなところが楽しいのか分からないと、あなたが楽しいと感じられないところに連れて行ってしまうかもしれないから教えてね」とお願いをして教えてもらっていました。質問した直後には答えられなくても、寝る前にいろいろと教えてくれることもあります。親子ならではのやり取りだと思います。

夏休みの読書感想文をきっかけに、家族内のイベントのたびに「何がどう楽しかったのか」を意識的に会話する習慣をつけておくと、来年の読書感想文は今年よりも楽になるかもしれませんね。少なくとも国語の力はつくと思います。