もう入学式の季節ですね(3/19に書きました)。入学前にいろいろと心配事があるかもしれません。ひらがなが書けるだろうか、足し算引き算は大丈夫だろうか。大丈夫です。学校で教えてもらえることに関しては、そんなに心配する必要はありません。

 大切なのは話をしっかり聞けることです。保育園や幼稚園で先生の話をしっかり聞けている子が小学校に入って勉強面でついていけなくなることはそうそうありません。いや、ないと断言しましょう。ただし、黙っている=聞いている、ではありません。

 そして、次に大切なのは語彙があることです。入学時に小学生としての語彙がある必要はありません。年長さんとして十分な語彙があれば大丈夫です。十分な語彙というのは非常に難しいくあいまいですが、先生の話を聞いて分かるレベルです。自発的に語彙を身につける力があれば、小学生としての語彙は2か月もすれば身に付きます。

 自発的に語彙を身につけられる語彙が豊かな子とは、自分の目で見て自分の耳で聞いている子です。言葉は自分で拾い集めるものなのです。教えてもらうのを待っている子は、語彙がなかなか増えません。

 突然ですが、小学校からインターナショナルスクールに子供を入れるとした場合、何が一番気になりますか?お金ですか?それもありますが、それ以上に気になるのは英会話の能力だと思います。先生の話が理解できなければ授業についていけないからです。

 では、日本人の両親から生まれた日本人の子供だから、日本の小学校に通うことに全く問題がないかというとそういうわけでもなさそうです。数字が正確かどうかは別として、小学1年生で語彙が少ない子は2千語、多い子は7千語あるそうです。そして、小学6年生になると差はもっと開くようです。少ない子は8千語(語彙が豊な1年生とそう変わりません)、多い子は3万7千語だそうです。

 語彙が2千語レベルの子たちは先生の話についてこれません。テストではそれなりの点数を取れるかもしれません。覚えれば何とかなるテストなので、記憶力で何とかカバーできます。

 小学校1年生の1年間で一番大切なのはテストの結果ではありません。先生の話を聞いて理解することです。帰りの会やホームルーム、あるいはクラスで問題が起きたときに先生が話してくれることを理解することです。要するに、学校生活の中で先生が話している内容を通して、自分(や自分のクラス)に何が起きているのかをしっかり理解することが一番大切なのです。

 2年生になると少し理解を求められる勉強が始まりますが、1年生の時から先生の話が分かっていれば全く問題がありません。学校の勉強とは生活の中にあることを一つ一つ習うことですから、学校生活の中で先生の話が分かれば理解できるものばかりです。

 さて、語彙数に関して、驚くべきことは2つあります。一つ目は語彙が少ない小学6年生と語彙が多い小学1年生の語彙量はほぼ同じだということです。そして、語彙が多い子は1日平均13語も語彙を増やしているということです。

 どうやったら毎日13語ずつ増やしていくことができるのでしょうか?大学受験前に、1日13語ずつ英単語を覚えられた人がいるでしょうか?かなり難しいですね。でも、これは英単語ではなく、日本語の言葉です。日本語は日々耳から聞こえてきます。語彙がどんどん増えていく子たちは、みんな耳がいいのです。こういう子たちは教えてないのに、「知っている」ということが多々あります。ちゃんとわかってなくても「聞いたことはあるけど・・・」と言えます。つまり、学校などで新しい言葉を教えてもらう前に予習が済んでいるのです。そして、耳がいいのでテレビから聞こえてくる音声をキャッチして復習も生活の中で完結します。語彙を増やすために、ガリガリ勉強する必要はないのです。

 語彙が多い子たちは読書も楽しめる可能性が高いです。そのため、さらに語彙が増えていきます。語彙があるうえ、読解力があるために、分からない言葉も推測してすいすい読み進めていきます。

 最初に述べましたが、学校で教えてくれることに関して心配する必要はそんなにありません。が、話の聞き方は学校では教えてくれませんし、語彙も学校では最低限の語彙しか教える時間的余裕がありません。かといって、親にも教える余裕はありません。

 では、どうするのか、話をしっかり聞く習慣を作ってあげることが肝要です。話がしっかり聞ける子で、語彙が少ない子を私はまだ見たことがありません。そして、話がしっかり聞ける子は読解力もあります。読解力があるから、文脈から知らない言葉の意味を推測することもできるというわけです。

 しっかり会話を重ねていきましょう。いや、その前に、(保育園の)先生の話を「しっかり聞きなさい」と伝えましょう。そして、言いっぱなしではなく、お迎えに行ったときに「先生は今日どんな話をしてくれたの?」と確認をしましょう。これが一番楽な手です。

 もう春ですね!土筆が元気の育っています!