私が見る限り、質問することが出来る子(つまり、疑問を持てる子)はとても成長しやすいです。もちろん、質問ができる時点で、質問をするための語彙だったり、会話力があるということもいえます。

 たとえば、学校の漢字の宿題をやっていて、まったく質問が出てこないとします。その場合、その子にとって語彙が簡単すぎるか、逆に難しすぎて鉛筆を動かす処理をしているだけか、ということが主に考えられます。学校の宿題として出された言葉をすべて理解している子はまずいません。そのため、私はこの子にとっては、このレベルの言葉は難しいだろうなと思うと必ず確認しています。確認して、しっかり言えれば褒めてやればいいのです。授業で先生の話を聞いて分かったと教えてくれたら、先生の話をちゃんと聞いていて偉いね、と褒めてやることもできます。初めのうちは教えてあげます。でも、「次からは自分から質問すること」とくぎを刺します。マンツーマンで教えてもらうことに慣れ切ってはいけません。特に、言葉は自分で拾い集める(聴き集める)ものです。

 学校の宿題をやっていて自分が理解していない言葉に気づけるような子は、言葉に対する感度が高いのです。質問してきてくれたときに、その場で教えてあげれば一発で理解します。なので、いくらでも教えます。今、3年生の子がよく質問をしてきてくれます。本が好きな子なのですが、3年生になると分からない言葉もちらほら出てくるのです。教えたことを全部を理解していると期待しすぎてはいけませんが、ほぼほぼ理解しているはずです。

 逆に語彙が足りない子は、分からない言葉が多すぎて何が分からないのか分かりません。分かってないこと自体気づいてないことが多いのです。だからこそ、大人側から「なんて読むの?」「意味は分かってる?」と確認してあげる必要があります。宿題は差を縮めるための最大のチャンスです。

 さて、宿題一つとっても、質問が出来る子とそうでない子に差があります。では、絵本の読み聞かせなどではどうでしょう?質問が出来る子たちは、的確に質問ができます。著者がここで疑問を持ってもらいたいと思っているだろうところで疑問を感じるのです。「えっ、なんで?」「どうなっちゃんだろう?」などなど、です。だから、その続きに興味がわくし、そのすぐ次のページに自分の疑問に対する答えが出ていて、ストーリーが一層楽しく感じられます。コロナになってから、おやつの時間にテレビをみせることが多くなったのですが、そこでも質問力のある子は絶妙なタイミングでぶつぶつ疑問をつぶやいたりして反応しています。

 じゃあ、どうやったらわが子が質問上手になれるのか、そこがポイントになります。質問をちゃんとしなさいと言ったところで質問が出来るようになるわけではありません。まずは親が子どもの質問に真摯に答える事。つまり、質問することが悪いことだと思わせない事です。「へー、そんなことに興味を持ち始めたんだ」と前向きにとらえることが大切です。そして、もっと大切なのは、親が子どもにたくさん質問をしてあげる事のようです。これはイギリスの研究で明らかになっています。「質問するという行為は子どもに伝染する」のです。好奇心に基づいた「どうやって?」や「どうして?」という質問が多い家庭の子は、好奇心に基づく質問を発する傾向が顕著だったそうです。詳しくは『子どもは40000回質問する』の第6章を読んでみてください。とても参考になります。