沢山の交通ルールがあります。その中の一つについて、子どもたちと考えてみました。横断歩道に車が止まっているのは見たことがありませんが、5メートル離さなければならないというルールがあることを教えました。

 なんで5メートル離さなければならないのでしょう?これはさすがに誰も見当がつかなかったようです。そこで、子どもたちに子供の目線と大人の目線で撮った動画を見せました(わざわざ人通りの少ない時間帯に横断歩道の真横に車を止めて動画を撮りました)。横断歩道の隣にあっても大人の目線だと車が来るかどうかは分かり、安全に渡ることができます。しかし、子どもの目線だと車が山のように視界を遮って車が来るかどうかが全く分かりません。分からないから危ないかもしれないと想像力が働く子はいいのですが、見えないから大丈夫と短絡的に考えてしまう子もいます。

 車を横断歩道から5メートル離して止めてみると、子どもの視線でも止めてある車の向こうから走って来る車の影が見えました。実際に、動画を子どもたちと見ているとき、子どもたちが車に気づいてくれました。きっとリアルの世界でも、車が来るのが見えたら道を渡ることはしないでしょう。横断歩道から5メートル離せば、子どもの命が守られる可能性が高まります。

 さて、大人と子どもでは視界が全く違います。大人には子どもには見えてない車が見えているのです。それが子どもには大人もちゃんと確認をしていないように映ってしまいます。だから、左右を見ないで道を横断する子がいます。大人は子どもを守ってあげなければなりません。が、何でもかんでも、大人目線で指示を与えすぎると子どもが思考停止に陥ってしまいます。「よく分からないけれど、パパ(ママ)は何でも分かっている。だから言うことを聞いておけばいい」となってしまうと切ないです。いつも答えを言う(「よし渡ろう」「今は危ないよ」)のではなく、子ども目線まで膝を落として「答えの見つけ方」(どうやったら視界が開けて、安全に渡れるか)を教えてあげれば、子どもは自分で判断できるようになっていきます。そして、これが考える子どもを育てることだと思っています。

 いつも子ども達に言っているのですが、ルールには意味があるということを知ってもらいたいのです。そして、そのルールはほとんどの場合、弱者を守るためのものなのです。本当の理由でなくていいのです。自分なりにルールの背後にある理由を考える習慣を持てば自然と賢くなれます。そして、これが毎週火曜日と金曜日に『みんなのためのルールブック』を使って、一つ一つルールについて子どもたちと考えている理由です。