テレビのニュースを観ていた娘が「テレビを観ていて(コロナに)感染することあるの?意味わからない」と言っていました。一瞬何のことだか分からなかったのですが、どうやら「(オリンピックを)テレビで観戦してください」と言っていたのを語彙がないために、勘違いしてしまったようです。「かんせん」と言えば、今の子にとっては「感染」なのですね・・・。まあ、低学年なので、「感染」と「観戦」を間違えるのは笑い話です。

 小学校低学年の子がニュースを見ていて、このように勘違いして「意味が分からない」と言ってくれるのは、とてもよいチャンスになります。実際、スマホに入れてある大辞泉を使ってすぐに「観戦」の意味を教え、「スポーツを観戦する」とか「野球をテレビで観戦する」っていう風に使うんだよ、と語彙を増やしてあげる機会にしました。これぐらい丁寧にやっておけば、あと1回どこかのタイミングで教えてあげれば、もう自分の言葉にすることができるはずです。

 これがニュースではなく、学校の担任の先生の話を同じように「意味わからない」と感じて、学校で先生の話を聞かなくなってしまうのは本当に恐ろしいことです。もちろん、先生の話している内容がすべて分かる子はいないと思います。「分からない」の頻度が少なければ何度か聞いているうちに「あー、そういうことか!」と自然と語彙が付いてきます。あるいは、「〇〇って何?」と声に出して聞ける強者(自信のある子)も中にいるでしょう。そういう子たちは全く問題がありません。話を聞いて「分かった」という成功体験を持っているので、未就学児から小学生になり、使っている語彙がガラッと変わってもすぐにキャッチアップできます。

 問題は語彙が少なかったり、「てにをは」をうまく使いこなせていない子たちです。この子たちは学校で先生に勉強を教わっているはずなのに、「えっ、何言っているの?(意味わからない?)」と感じる頻度が多すぎて、先生の話を聞かなくなります。そして、意味が分からないけれど無理やり覚えているだけの状態になってしまう傾向が強いです。これだけは、絶対に避けたいです。(抽象的な言葉や、同音異義語が増えてくる3年生までに修正してあげたいです)

 さて、このような状況を避けるために親として何ができるか。一番はしっかりと会話を重ねることです。このような状況ですが、家の外に出て、イレギュラーな状況の中で、しっかりと会話を重ねていくことが大切です。ルーティンな会話を重ねていては語彙は増えませんし、「てにをは」を上手に使えるようにもなりません。ルーティンな会話は効く必要性がそもそも低いからです。

 「てにをは」は普段から使うことによって、自力で身につけるものだと私は感じています。「ママ、ジュース」で子どもの好きな飲み物を出すのではなく、しっかりと「ママ、(喉が渇いたから)オレンジジュースを持ってきて」などとしっかりした日本語で会話を重ねるようにしてあげてください。3歳ぐらいからできるはずです。そして、可能であれば家族みんなで「あれ」「これ」「やばい」を使うのはやめましょう。しっかりした日本語を使おうと思うと、意外とストレスであることに気が付くはずです。頭を使っているのです。会話をするということは、それ自体、脳トレになるのです。

 ※ダジャレ(おやじギャグ)を意図的に使ってあげることも、とても良い勉強になります。

 以前、在籍していた子のお母さんに1年生のころからずっと「〇〇君にもっとお話をさせてあげてください」と伝えていたのですが、3年生になって「〇〇に話をさせているつもりだったのですが、ほとんど私が話していることに気づきました」と言ってくれたお母さんがいました。そして、そのころから、明らかに話を聞くようになりました。私が教えてあげた言葉を1回で覚えられるようにもなりました。また、「おっ、よくこの言葉知ってるなあ」と感じさせてくれることも増えました。

 ぜひ、脳トレだと思って、会話を楽しんでください!