計算問題はできるけれど文章題がさっぱりという子は意外と多くいるのではないでしょうか。なぜ計算問題は出来るのに、文章題になると出来ないのでしょう?

 最初に疑うべき事は、問題文を読んでいない可能性です。声に出して、5回から10回読ませて分かるようであれば問題ありません。読んだのかを確認するとたいてい「読んだ」と言いますが、読ませてみると読んでなかった事がバレます・・・。それでも、5回から10回読んで解けるのであれば全く心配いりません。ただ、読んでないだけです。文章をちゃんと読む習慣をつけてあげる事が大切になります。

 問題文を上手に読めない場合、まずはちゃんと読む練習をさせてあげる事が必要です。この場合、大人が読んであげれば解決する事もあります。「読んであげればできたから大丈夫!」ではなく、読む練習をしっかりとやらせてあげる必要があります。自分で読んで解ける必要があるからです。

 さて、上手に読めているのに文章題が解けない。大人が読み上げても解けない。こうなると、個人個人対応の仕方は変わってくると思います。今回、私は数字だけを小さくした同じような文章題を作ってあげました。数が大きくてできないのではないかと仮説を立てた訳です。それでも出来ませんでした。じゃあ、何が問題なのか。正確なところは私にもわかりません。ただ、私の目の前にいた子は文章題も計算問題も同じように処理をしているように(少なくとも私には)感じられました。

 そこで、「3人って書いてあるけれど、誰にする?学校の友達でも、遊びたい子でもいいから3人の名前を書いて」と伝えました。すると、ちょっと時間が必要でしたが、3人の名前を書いてくれました。そこから、再びスタートです。私が作った文章題を読み上げました。すると、難なく正答する事が出来ました。要するに、勉強と自分の日常生活を切り離していたのでしょう。全くイメージができてなかったのです。公園で友達3人が遊んでいるイメージができた時点で解決したわけです。少し前にやった「お絵描きレッスン」と同じでイメージすることが大切です。

 その後、他の問題も全部自力で解けました。「もう大丈夫!」とは言いませんが、少なくとも「自分にもできる」という自信をつけてくれたことと思います。

 私がやったのは出来ない要因を考えて、(私が必死に教えるのではなく)その子に考えさせてあげただけです。大人が必死になって教え込めば教え込むほど、子供は考えなくなります。つまり、言われたことを無心になって処理するだけになります。また、まだ分かってないのに、「分かった」と言わざるを得ない状況に追い込まれます。別の子ですが、学校で先生がわからないところを一生懸命教えてくれていたらしいのですが、「一生懸命やってくれるのはありがたいんだけれど、何を言っているかわからないだよね・・・」と思いながら聞いていたらしいです。その子は「私に教えてもらうとわかるようになる」と信じているのですが、私は何も教えていません。本当は本人が考えているだけなのです。そして、私は考えるための環境を用意しているだけなのです。

 何が分かっていないのかを少しでも正確に把握した上で、どうやって子供に考えさせるかを考える。これが大切だと思います。子供自身が考えないことには前に一歩も進みません。