私は子どもたちをGrowth Mindsetにしてあげたいと思っています。「成功思考」とか「しなやかな思考」という風に訳されています。要するに「今できなくても、少しずつ上達して、必ず最後にはできるようになる」と自分のことを信じられる思考です。

 年に1回くらい、子供たちに「頭の良さ」「運動神経」「性格」の3つのうち、何個が変えられるか、そして、それはどれなのかを確認しています。読んでいただいている方が、この3つのうち変えられるものはないと思っていらっしゃる場合、お子さんがGrowth Mindsetである可能性は残念ながら低いと思います。子供たちは親の考え方を知らず知らずのうちに身につけているためです。「やればできる」と子供には言いつつ、「うちの子、もともと〇〇は出来ないんです」というような発言をしていると危険です。「出来る/出来ない」ではなく、「出来る/まだ出来ない」なのです。私は子供たちになるべく「上手になったね」という言葉を使うようにしています。算数も「出来た」ではなく、「上手になった」「上手に出来るようになった」を使うように意識しています。

 さて、先の質問に対する子供の回答と、物事への取り組み方は驚くほど一致しています。「頭の良さ」は変えられないと思っている子は、自分の才能を証明できるものに関してはとても一生懸命取り組みますが、そうでないものはなかなか頑張れません。自分は頭がよいと思っていても、逆にあまり頭がよくないと思っていても、能力は与えられたものなので「変えられない」わけです。ですから、頑張るモチベーションが湧きにくいのです。得意だと思っていたもので、ほかの子に負けると途端にやる気を失う傾向が見られます。これは、運動に関しても同じことがいえるのではないかと思います。

 大きな成功を得る必要はないのです。本当に普段の生活の中で、小さな小さな成功を一つ一つ獲得させてあげればいいのです。自分でできることを一つ一つ増やしてあげればいいのです。パパママには出来るけれど、自分には出来るはずがないと思っていたことが「出来た!」ときの喜びは大きいです。「自分はパパママに少しずつ近づいているんだ」という気持ちが自信になります。「あなたには〇〇の才能がある」と褒めるのではなく、「よくくじけずに頑張ったね」「毎日〇〇をやった甲斐があったね」「あなたが頑張っている姿を見ていますよ」と褒めてあげればいいのです。この習慣が子どもの思考を変えるのです。私は子どもの能力にほとんど差はないと思っていますし、出来ると信じています。だから、待ってあげられるのです。

 今年度は目立って成長をした子(随分と変わったなと感じる子)が3人います。が、まだその3人とも、「頭の良さを変えられる」とは思い切れていないようです。なんとか、トゥモローキッズスクールを卒業していく前に、「自分の頑張り一つで頭の良さだって変えられる」と思えるようにしてあげたいです。それが通ってきてくれている子供たちに、私からあげられる唯一のギフトです。

 一面の菜の花。もう春ですね!