この時期(9月)、基本的に1年生には鉛筆を持たせて勉強する事はしていません。でも、夏休みの間だけは時間が十分があることもあって、鉛筆を持たせて,試行錯誤が必要な算数の課題に取り組ませています。今年も頑張ってもらいました。単なる足し算の応用なのですが、試行錯誤をしなければ解けません。

 だから、子供たちには「今日中には終わらないし、今週中にも終わらないと思うけど、ここまで算数を頑張ってきて、カルコロも楽しめるようになってきているから、頑張れで解けるから大丈夫」と背中をおして始めまさせます。

 でも、10分も経たずに、手が止まってしまう子がいます。まあ、それは仕方がないことなのですが、間違え続けてもらいたいのです。歩けるようになった日のように何度も何度も転んでもらいたいのです。そのために、何度も何度も答えを出してきてくれる子を褒めています。間違えるたびに褒めるのです。本当に、間違えていい場なのです。

 彼らは気づいてはいませんが、賢人パズルというパズルを通して知っているのです。手を止めなければ必ず答えに辿り着ける、ということを。でも、鉛筆だと難易度が上がってしまうのです。そして、パズルだと間違えられるのですが、計算になると間違えるのが怖いのです。褒められないことが怖いのかもしれません。

 実は、上級生はもっともっと試行錯誤をしなければならない問題に取り組んでいます。その様子を1年生に見せたりもします。何度も書いては消してを繰り返して、少しずつ答えに近づく。1年生たちが「すごい」と思っているお兄さんお姉さんたちは、優雅に泳いでいるわけではなく、必死にもがいているのです。簡単に答えが出る問題は、極論すれば知っているか知らないか、です。知っている問題を解いたってたいして嬉しくありません。

 答えが合った合わないという視点だと0%が100%なのですが、答えを出すまでのプロセスを見ていると「ここまできたらもう少し」というポイントがあります。だから、そういうポイントに来たら、「おぉ、ここまで分かったら、あと少し!」という風に声の掛け方も変わります。

 間違い続ければ解けるのです。もう少し正確に言うと、間違えると気づきが生まれるのです。間違いをすることなしに一気に正答しようと思っても、それは無理です。2年生になって解くのは簡単な問題です。だからこそ、1年生の今、試行錯誤の末にたどり着けると、喜びも達成感も非常に大きいのです。試行錯誤が必要のない問題を解いていてもこの喜びは得られないでしょう。一つの問題を解いて、あれだけ喜べることはなかなかないです。

 今の子どもたちが大人になるときは、より変化が大きくなると言われています。だからこそ、試行錯誤の仕方というよりは、試行錯誤した先にある喜びを教えておきたいのです。皆さんの会社でも、試行錯誤をしている同僚先輩後輩が活躍していますよね?

タンゴは生き物の宝庫ですね。イナゴもカエルもトンボもいました。