批判的なリスニングというと難しく感じるかもしれませんが、友達の発表を聞いて「わかったつもりになるな」と常々言っています。大人でも勘違いしがちな人が多いのですが、何かを聞いて疑問が一つも湧かないことはありえません。疑問を感じることは決して恥ではないのです。逆に、質問を受けることも悪いことではありません。1回で伝わることなんてありえませんし、伝えたいことを発表したら、聞き手を刺激して別の興味を持ってくれることもあるからです。つまり、興味を持って一生懸命聞いているからこそ、質問が生まれるのです。聞いていて疑問が思い浮かぶことも、話していて質問されることも当たり前のことなのです。

 さて、2月の後半から(3月末にかけて)ちょっと小難しいけれど、大切なことをやりました。「理由を言う」「事実と意見」「ほかの人の立場から考える」「未来を予測する」「アイデアを出す」「わかったつもり」などです。同じ話(「三匹の子ブタ」)を聞いて、「質問なんて一つもない。ちゃんとわかった」と思っていたのに、たくさん疑問が思い浮かぶ子を見て、1年生も刺激を受けてくれたようです。なによりも「確かに、そのことは分かってなかった」と感じてくれたのでしょう。そして、立場や経験が違えば見え方や感じ方が違うのも当たり前だと少しずつ体感してくれているようです。

 実際、ここ最近、友達の発表(生活発表や日記の発表)を聞いて質問する子の人数が増えてきています。また、質問を受けた子も絶句することなく受け答えが出来るようになってきました。本当にうれしいことです。質問は批判ではないのです。興味を持っているからこそ質問が出てくるのです。「もっとあなたのことを知りたい」から出てくるのです。言葉の力を持っている子は、「へー、なんでそう思ったの?」などと確認してあげると、もう止まらなくなります。気をつけてもらいたいのは、言葉の力は生まれつき持っているギフトではないということです。丁寧に丁寧に、会話を重ねることで言葉の力が育まれるのです。磨いていくという姿勢が何より大切です。小さなころは、質問をしたりされるのが当たり前だったはずです。なぜなぜ期を少しでも長くキープしていきましょう。

 写真は卒業式で学校がお休みだった日にクロスポへ行ったときの写真です。翌日は手首が筋肉痛で鉛筆を持てない子がいました。いまを生きていますね!小学生(大人も)が明日のことを考えて手を抜いてはいけません。