トゥモローキッズスクールでは斎藤孝さんの『小学生のための論語』を使って論語もやっています。年度の始めは必ず「今汝は画れり(いまなんじはかぎれり)」をやります。やる前に「無理」「出来ない」と決める子が多いのですが、「やってみなければ分からないよね」ということを少しでも理解してもらいたいのです。

 大切なのは失敗してもいいけれど、真剣にやることです。「失敗してもいい」と言われているからといって適当にやってしまうと、うまくいかないことが多いです。そして、「やっぱり出来なかった」ということになります。真剣に一生懸命やることが大前提です。

 斎藤孝さんは、無理と感じてからその5倍は頑張れる、と本の中でおっしゃっていますが、私はそこまで頑張らなくていいと思っています。でも、あとちょっと頑張ってもらいたい。5回やってみたのなら、あと1回か2回頑張ってみる。10分頑張ったらあと1分歯を食いしばってみる。そういう積み重ねが大切だと思います。このちょっとの差が積もり積もって大きな差になります。

 「(自分で)出来る」という自信を持っている子は、この「あとちょっと」の頑張りができます。「この前も出来たから、これも出来るはず。だから、もうちょっとだけやってみよう」と思えることが大切だと思います。

 さて、小学校低学年の子たちの遊びや勉強は、たまたまがきっかけで上手くいくことが多々あります。シンプルな遊びや勉強が多いためです。私はそれでいいと思っています。でも、たまたまを引き寄せるには、あとちょっとやってみる必要があるのです。やる前から諦めていたら、たまたまは決して起こりません。

 1年生の子たちには、賢人パズルというパズルをやらせているのですが、左右に回転させてもうまくいかないけど、裏返しにするとぴったりはまることがあります。私はそれを「気づいてくれ」と祈りながら見守っているわけです。教えてしまうのはとても簡単です。でも、それだと学びが少ないのです。下手をすると、「困ったらこの人が助けてくれる」ということを教えかねません。だから、私は祈りながら偶然でもいいから自分で気づくのを待っています。そして、気がついたときに、「おぉ、よく気がついたね!」と褒めてあげます。自力で出来るんだということに気づいてもらいたいのです。

 自分で気づけた子は、次も自分でやろうと思います。だからこそ、私は子どもたちにあとちょっと頑張ってもらいたいのです。お父さんお母さんにはもう少し待ってあげてもらいたいのです。これは勉強だけに限りません。日常生活にも、もうちょっと待ってあげれば(もうちょっと頑張る時間があれば)自力で出来ることはたくさんあるはずです。 それが、本当の自信になるのです。