最近、大人が見る番組も子どもが見る番組も、視聴者にとても親切になっています。思考せずとも楽しめるようになっている気がしてなりません。楽しむ中で理解力がついていけばいいのですが、楽しかっただけで終わっているだけだとちょっと怖いですね。テレビを見せるときも一工夫が必要なのかもしれません。
ここ何年か、アニメなどを見せていている途中で一時停止して「この後どうなると思う?」とか「このキャラクターはなんでこんな顔をしているのかな?嬉しいのかな?悲しいのかな?」とか「急に出てきたこれはなに?」などと質問をしてあげることがあります。最初は迷惑そうにしている子もいますが、繰り返しやっているうちにだんだんと当たることが増えてくるのです。そして、だんだん答えるまでの時間が短くなっていくのです。
どういうことなのかを考えて、結果的に上手く当てられなくても構わないのです。ある場面が終わって、いきなり太陽が出てきたとします。そこで画面を止めて「なぜ太陽が出てきたんだろう?」と“考える時間”が必要なのです。そして、答えが「次の日になった」でも、「すごく暑いのかも」でもいいのです。もちろん、間違えていいのです。考えることが大切なのです。
私に質問されると同時に答えが言える子は、私に質問される前から考えている子なのでしょう。アニメを見ながら「あれ?」と自発的に感じているのでしょう。考えることが習慣になっているとも言えます。基本的な質問が多いので、ちゃんと見ていれば分かります。最初からすぐに答えられる必要はないのです。意識をすれば、いろんなヒントが隠されていることに少しずつ気づいていきます。そして、それまでよりも集中して見るようになります。集中して見るようになれば、それまでよりもたくさんの気づきが得られるはずです。そして、ヒントの活用の仕方を学んでいきます。そして、同じ番組を見てより深い理解を得られるようになっていきます。
家庭でここまでやる必要はないかもしれませんが、小さい頃から膝の上に載せて一緒にアニメなどを見ているときに、お父さんお母さんがぶつぶつと「へー」とか「すごいね」とか「あれ、次の日になったのかな?」などと子供に「聞かせる独り言」をつぶやいてあげるだけでもいいと思います。こういうことを3歳ごろからやってあげているだけで、好奇心があり(疑問を感じられ)、理解力のあるしっかりした子に育つ確率が上がると思います。
テレビを観ていて「考えてみよう!」というフレーズが聞こえたら、一時停止して考えさせてあげることも大切です。テレビは大人の事情でThinking timeを省いています。考えることとは3秒で思いつくことだ、と思わせない工夫も大切かもしれません。
国語の読解力もつくと思いますが、そのためにやるのではなく親子で楽しむためにやってもらいたいと思います。深く理解できればより楽しむことができます。
膝にのせて一緒にテレビを観られる時間は限られています。そういう時間を大切にしていきたいですね。