ある朝、忙しい平日のことでした。私は朝食の準備に追われ、慌ただしく動いていました。当時、保育園に通っていた娘が小さな手にお気に入りの積み木を握りしめ、静かに何かを作っている姿が目に入りました。普段なら気にも留めずに通り過ぎてしまう光景ですが、その日はちょっと様子を観察してみたのです。
娘は黙々と積み木を重ねながら、時折小さな声で何かをつぶやいていました。前日一緒に読んだ絵本のストーリーを再現しようとしていたのです。そのことに気がついた瞬間、心が温かくなりました。ただ遊んでいるのではなく、自分の中で物語を咀嚼し、再生しようとしていたのです。
この小さな気づきは、わが子の想像力と表現力を伸ばす大切なヒントになりました。親が少しだけ目の前の忙しさを脇に置いて、子供の行動に目を向けるだけ。これだけで普段見逃してしまう小さいけれど、大切な成長のサインに気づけるのです。子供の小さなつぶやき、ふとしたしぐさ。それらはすべて子供からの「私はここにいるよ」「こんなことが出来るよ!」というメッセージなのかもしれません。
娘に「それ、昨日のお話?」と声をかけると、パッと笑顔になり、得意げに作品について話し始めました。この瞬間、娘の心にそっと寄り添うことができた気がしました。観察力は、子供の気持ちに気づき、必要なサポートを提供するための最初の一歩です。
小さな気づきの積み重ねが、親子の信頼関係を育みます。「ママ(パパ)は私のことをちゃんと見ていてくれる」。子供がそう感じることで、心の中に安心感が芽生えます。そしてその安心感は、子供が新しいことに挑戦する勇気へとつながるのです。
勇気を持つことにより子どもは自ら試行錯誤をします。そして、観察をすることにより親はわが子の成長を実感できます。日常の些細な瞬間に、子供の成長は隠れています。すぐに声を掛けるのではなく、何をしているのだろう?と子供の表情や行動に目を向けてみてください。その小さな観察が、親子にとってかけがえのない温かな思い出として、心の中に刻まれていくことでしょう。



