ひきたよしあきさんの『大勢の中のあなたへ 3』の中の「運を良くしたいあなたへ」を読んであげました。読み始める前に、「運がよくなりたい人?」と確認するとみんなが「良くなりたい!」と言っていました。「じゃあ、どうすれば運が良くなるか、書いてあるからよく聞いておいてね」と伝えて読み始めました。

 ひきたさんの答えは「自分は運がいい、と決めてしまうこと」でした。自分は運がいいと思えば、嫌なことが起きても前向きにとらえることが出来ます。実際、起きてしまった出来事を変えることは出来ませんが、その解釈は人それぞれです。運がいいと思えば良い部分にフォーカスするし、運が悪いと思えば悪い部分にフォーカスします。朝から「今日は運が悪いなあ」と思えば、嫌なことに目が行ってしまうものです。

 運動や勉強も同じです。自信がある子は「前回も1回じゃできなかったから、もうちょっとやったら出来るはず」と考えて試行錯誤をします。その中でたくさんの失敗や間違いに直面しても、簡単にはあきらめません。一方で、自信がない子は出来ない事探しを始めてしまいます。だから、ちょっと間違えると「やっぱり駄目だ。無理だと思った通りだ」と自分の考え方を肯定してしまいます。

 「人間は自分の見たいものしか見えないんだよ。目の前にあっても見ようとしていないものは見えないんだよ。だから、運がいいと思って運が良い所を探すことが大事だし、自分は出来るんだと思って自分の出来ているところを探すことが大事だよ」と伝えたのですが、子どもたちは「目の前の物が見えないなんてありえない」と感じている気がしました。

 なので、子どもたちに見えないゴリラの動画を見せました。「白いシャツを着た人が何回パスを出したか数えてね、難しいから集中しないと数え間違いをするよ」と伝えました。みんな一生懸命カウントしてくれました。ゴリラが横切っていたことに気づいた子はいませんでした。「見ようとしたものしか見えないんだよ」ということに少しは納得がいったようです。

 「あれが出来ないから、これも出来ないだろう(これをやらせるのはまだ早いだろう)」ではなく、「あれが出来たから、これも出来るかもしれない」と信じて、色々なことにチャレンジさせてあげてください。親がどう思っているかは子どもに伝わります。これから大人になっていく子どもたちだからこそ、出来ないことが多いのは当たり前です。大人だって出来ないこと知らないことの方が多いのです。子どもたちはもっと多いはずです。「あれが出来ないから、これも出来ないだろう」という考え方をしていたら、チャレンジできることがなくなってしまいます。