人間と動物の違いは何か?これを1年生と一緒に考えてみました。でも、こんな難しいことをいきなり考えても出来っこありませんね。まずは、「犬」と「猫」の同じところをどんどん出してもらいました。次に、違うところを挙げてもらいました。違うところを探していると、同じところが見つかったりしますね。脳がどんどん活性化されていくのが目に見えるようでした。明らかに違うときは修正しますが、そうでないときは「はい、いいよ。もっと出そう!」といって流します。たまに私が、まだ出てない答えを言うと、それをきっかけにまた活性化していきます。

 次は、「犬・猫」と「ライオン」の同じところ、そして、違うところ。さらに、「犬・猫・ライオン」と「自動車」でも同様のことをやりました。そして、最後に、「犬・猫・ライオン」と「人間」の同じところ違うところを出してもらいました。「人間は道具を使える」「動物は生のまま食べるけれど、人間は料理してから食べる」「人間は火を使える」「人間は字を使える」「人間は言葉で気持ちを伝えることが出来る」などと出してくれました。そして、「人間は考えることが出来る」という答えが出たところで終了にしました。後ろで別のことをやりながら聞いていた年上の子が、1年生だけでこんなことが出せるんだと驚いていました。それぐらい、比べるということは考える上で大切なのです。

 「同じところ・違うところ」は、言葉遊びの一つでやったのですが、要するに抽象化と具体化です。抽象と具体を行ったり来たりすることによって思考を深めることが出来るわけです。「抽象」「具体」などという難しい言葉を使うからみんな敬遠するのですが、仲間を見つけたり、仲間外れを見つけたりするのは未就学児向けのドリルでもよく見かけますね。そういうことをドリルの外(生活の中)でも楽しくやることがわが子を賢くしてやるコツなのかもしれません(勉強としてやるとつまらないですが、遊びとしてやると楽しいです!)。

 また、普段の生活のいろいろな場面に応用がききます。「出来る事」と「出来ない事」の同じところと違うところを親が見極めてやることで、必要な箇所だけを手伝ってあげることができ、結果的に、子供が自信をつけやすくなります。出来ない事のすべてが出来ないわけではないのです。出来ない事の中にも出来る事はあるのです。1か所出来ないからといって、すべてやってあげてしまうと、親に頼りっきりの子になりやすいです。

 どこまで手を出せばいいのか分からないと悩んでいる方も多いでしょうが、出来ない事の中にも出来る事を見つけ出してやり、本当に出来ない事だけ手を貸してあげる。最初からうまくいく人はいませんが、そう努めることが大切なのではないでしょうか。そして、そういう思考を親が意識的にすることによって、子供も同じ思考を身に付けやすくなり、自律的な成長につながるのだと思います。