3学期になり、1年生の理解力もかなり上がってきたので、『子どもの「自分で考える力」を引き出す練習帳』という本を私が読み聞かせをしながら一緒に読み進めています。

 第1章の「理由を言う」と第2章の「事実と意見」を終えました。正直、1年生にはそんなに簡単ではありません。でも、完璧な理解は求めていないのです。どうして「なぜ?」に答えることが大切なのか、そういったことを一緒に考える機会を持ちたいのです。

 そして、1年生だけで理解しなさいと言っているのではないのです。在籍している子たちみんなで理解をすれば、教室内の知恵力が高まります。読んであげた直後に、「事実」と「意見」の違いが自力で完璧に分からなくてもいいのです。理解度の高い子が、「今のは意見だから理由が必要なのか」とか「そっか、これは事実じゃなくて意見なのか」とつぶやいてくれれば、それを耳にすることにより、徐々に慣れていってくれます。言葉に慣れた状態でまた来年やったときに理解が深まってくれればいいと考えています。

 第1章を読み終えた直後に、「その本見せて」と言ってきてくれた子がいました。すごく楽しかったらしいのです。でも、一人でサラッと読み流すのではなく、問題を一緒に考えて答えをを書き出したり、他の子の意見を聴きながら読み進めることにより理解が深まると私は思っています。

 「理由をことばにするのは、ペットやぬいぐるに名前をつけてあげることににていると思う。名前をつけるときは、この子にいちばん合う名前は何だろう、って考えるでしょ。理由を考えるときも同じで、自分の考えていることに一番ぴったりのことばはなんだろう、って考えなくちゃいけない」とか「考えることはクセにするものなんだ。歯みがきみたいにね。・・・中略・・・。毎日やっていると『歯をみがくのは当たり前」と思うようになるし、うまくなるよね」というように、子供たちに分かりやすく書いてあります。いたるところに、考え続ければ考えるのが上手になるよというメッセージが入っています。あの子は頭がいいから考えられるのではなく、考えているから頭がよくなるのです。「『なんで雨が降ってくるってわかったんだろう?』というようなことを考えていると、頭が良くなるよ」ということも書いてあります。答えが簡単に手に入る時代だからこそ、自分の疑問を大切にしてもらいたいです。

 一人で読書できる子に、お父さんお母さんが読み聞かせしてあげるといいと思います。そうすることによって、普段の生活の中で、子どもたちが考えるためのお手伝いがしやすくなるはずです。読んだときだけ「楽しい」で終わっては勿体ない本です。