先日、芦田愛菜さんのお母さんが「おはよう」「さようなら」「ありがとう」「ごめんなさい」「わかりません」「お願いします」「知りません」の7つの言葉を大切にして子育てをしてきたという記事を読みました。

 私がすごいなと感じたのは「知らない」と「分からない」を未就学児のころから使い分けさせているところです。「知らない」と「分からない」を使い分けられる子は少ないです。「分からない」のか「知らない」のかはちょっと考えなければなりません。それが面倒で「知らない」ことを「分からない」、「分からない」ことを「知らない」と適当に答えている子が多いという印象を持っています。「分からない」と「知らない」を使い分ける。そんなベーシックなところから、芦田愛菜さんは常に考えているんだな、そして、いつも考えているからこそあれだけ賢く育ったのだろうなと感じました。

 さて、私が「これってどうしてだか、分かる?」と聞いているのに「知らない」と答える子がいます。「分かる?」と聞くときはたいてい「今のあなたたちの知識を使えば分かるから考えてごらん」という事なのですが、反射的に「知らない」と答えます。逆に、知っているかどうかを聞いているのに、長考に入る子もいます。

 われわれ大人がグーグルなどの検索エンジンを使いすぎて、子どもたちは「知っている」と「分かる」の違いが分かりにくくなっているのかもしれません。ちょっと考えれば分かることを面倒くさがる傾向が強くなってきている気がします。どこまで知っていて、どこから先を知らないのだろう。自分の知識を使うとどこまで分かるんだろう。こういうことを日々積み重ねることが思考力を鍛えるうえで何よりも大切なのだと思います。

 とはいっても、子供に自分で考えなさいと言ってもそれは無理です。まずはわれわれ大人が子どもの質問にスマホを使わずに自分の言葉で答えることから始めてみる必要があるのかもしれません。完璧な答えは必要ありませんし、時には間違ってもいいのです。そうすれば、一緒に考えるきっかけにもなります。これこそが子どもに考えることの楽しみを伝えてあげることなのではないでしょうか。