自分の子どもがテストで何点取ったのかを知りたいと思うことは、子どもに関心を持つという点では大切です。でも、テストの点数を知ったところで、あまり意味はありません。低学年であればあるほどテストの点数なんて、気にする必要はありません。

 気にするべきなのは宿題、だと私は考えています。

 『みんなのためのルールブック』という本があるのですが、それを使ってレッスンをしているときに「なんで学校の先生は宿題を出すのだろう?」という質問を子供たちにしました。するとある子が「学校で授業しているときには一人一人がどれくらい理解しているか分からないから、その確認をするために宿題を出しているんだと思う」と答えてくれました。これが唯一の答えだとは思っていませんが、この理由には私も賛成です。賛成いただける方も多いのではないかと思います。そうだとしたら、宿題が終わっているかどうかを確認するのではなく、家庭でも理解度を確認してあげることが大切だということになります。

 宿題のときにしっかり理解にたどり着いておけば、テストは普通にこなせるはずです。小学校の勉強は、身の回りにあって、すでに見聞きしたことがあるはずの事柄を学校で整理しているだけです(もちろん、生活の中での抜け漏れをフォローするという意味もあるとは思います)。なので、一度、ちゃんと理解をしてしまえば、新たに覚えなければならないのは、漢字ぐらいなのではないでしょうか。特に低学年であれば、本当に漢字だけです。

 学校の宿題が終わっているかどうかの確認で終わるのではなく、「この子はどこまで理解できているのだろう?」「どういうことが分かるようになっているのだろう?」という興味やある種の素朴な好奇心が大切だと思います。漢字であれば、一つ一つの漢字の意味は分かっているのか、熟語の意味は分かっているのか、そういったところに興味を持ってあげてもらいたいと思います。

 ちょっと難しめの熟語の意味を知っていたら、何で知っているのかを確認し、「先生の話をしっかり聞けているね」と伝えてあげることも大切だと思います。親に質問されると思えばこそ、普段から意識をするようになります。余力があれば、習ったばかり漢字を使った熟語を追加で一つ二つ教えてあげると、より強くその漢字が印象に残ると思います。学校の先生に教えてもらわなかったことを、家で親に教えてもらうと嬉しいものです。

 宿題を見守るという点では、どのくらい時間がかかったのかを確認しておくことも大切です。計算問題はさくさく出来るのに、文章題になると解けない。あるいは、解くのに時間がかかる・・・。これは要注意です。実は、算数の計算問題は、文章題のようなものを解くためにやっているのです。単なる計算問題なんて、日常生活では出てきませんね。ここでポイントになるのは、なぜ躓いてしまっているのかと興味を持つことです。計算が難しいから解けないのか、知らない言葉があるから解けないのか、はたまた文章を読んでない(文中の数字しか見てない)から解けないのか。それを観察して気づいてあげることが大切です。「うちの子は文章題が苦手」で終わりにしないことが大切です。親が思考停止していては、子どもも思考停止してしまいます。

 少し学年が進んでいくと、3桁×2桁の掛け算は出来るのに、3桁×3桁の掛け算は出来ないという子も出てきます。そんなときに、出来なかった問題だけを取り上げて、「計算間違えしている」と指摘しても全く意味がありません。なぜあの問題は解けるのに、こっちは出来ないのか。出来る問題の共通点は何か、出来ない問題の共通点は何か?そんな好奇心が必要になってくると思います。

 先日、「うちの子、似たような問題でも解ける問題があったり解けない問題があったりするんですよね・・・なんでなんですかね?」と嘆いているお父さんがいました。こっちの問題とあっちの問題、わが子にはどこがどう違って見えているんだろう。そんな視点を持ちはじめれば、いろんなことが解決されていくと信じています。そして、その視点を子供たちは普段の生活で親を見て学ぶのです。