一部の子に、漢字(語彙)のレッスンを19:00から30分やっています。私も冬休みはどうしようかなと思っていたのですが、ある子から「(いろんなところに行って忙しいけれど)お出掛けの後も漢字やるの?」と先に質問されてしまいました。なので、「やりたい?」と確認すると「やりたい!」と即答してくれました。冬休み中はお休みでもいいかなと思っていたのですが、「やりたい」と言ってきてくれたらやらないわけにはいきません。嬉しい悲鳴です。学校に比べると難易度が高いはずなのに、前向きに取り組んでくれていてとても嬉しいです。

 いまは2年生の漢字を使った言葉を教えていますが、学校で扱うよりも多くの言葉を教えています。初めて聞く言葉も多いはずです。もうそろそろ読めてほしい(あるいは、流れから読めてほしい)と思う漢字は多少難しくても敢えて使っています。

 たとえば、「番犬がはげしく吠える」や「試合半ばに雨が降る」という例文です。はじめた当初は「当ててごらん」「間違えていいから」を30分の間に何度言ったか分かりません。語彙を日常生活の中で増やす一番の秘訣は、聞いた言葉の意味を前後の文脈から推測することだと思っています。なので、初見の漢字であったとしても、語彙の多い子であれば読めることが多いのです。書けなくても、ちょっと考えれば読める漢字はたくさんあるのです。今はルビが振ってあるのでこういう力を養うことがなかなかできません。

 そして、3年生以降で習う難しい漢字を「読めた(当たった)!」というのが自信になり、漢字に対する興味を掻き立てます。逆に、2年生が3年生や4年生の漢字を読めなくても、なに一つも恥じることはないのです。だから、私はこの漢字のレッスンは得ることばかりの魔法のレッスンだと思っています。

 教えるのはいわゆる語彙だけでなく、もう一歩踏み込んでいます。たとえば「明星」を教えるときに、「明星って金星のことだよ」だけでなく、明け方や夕方の空で一番明るい星で、「明けの明星」「宵の明星」と呼ばれ、「金星は一番星になることが多い星だよ」ということも教えます。「南極」をやるときは「南極と北極、ペンギンがいるのはどっち?」と言いつつ、ネットで南極の画像を検索してあげるとペンギンが出てきますね。「じゃあ、ついでに北極も調べてみようか?」と、北極を検索してあげると今度はホッキョクグマが出てくるのを見せ、「あっ、ホッキョクグマだ!」と声に出してもらったりします。こうやって、イメージとして心に少しずつ残ってくれるといいなと思っています。ありとあらゆるものを使って言葉を増やしてあげているのですが、やはり間違いなく勉強です。それでも、その勉強を楽しんでくれているのが私は嬉しくて仕方がありません。

 ちなみに、もう一つとても嬉しいことがありました。『長くつ下のピッピ』を読んであげていることは書きました。ここで嬉しいことが発生しました。語彙が豊富で理科系の本は好きだけど、お話や物語にはそこまで興味がなさそうな子が、興味を持ってくれていたのです。私に「先生、ピッピはどこの図書館で借りてるの?」と訊いてきました。なんだろうと思って、「東部図書館だよ」と返答すると、「やっぱり!だから、東部図書館にピッピが置いてなかったのか」と話していました。自分で借りて読んでみようと思うくらい興味を持ってくれたことを嬉しく思いました。