今は電子辞書もあるし、子どもたちはタブレットを渡されているので気軽に電子辞書やwebで分からない言葉を検索できる環境にはあります。でも、子どもに辞書を使わせるのはあまりよい手だとは感じていません。

 子どもに「使いなさい」と言っても使いません。理由は簡単です。大人も辞書を使いたがらないからです。辞書を使えるなんて、言葉への興味関心がかなり高い証拠だと思います。辞書を使うのはハードルが高いですが、言葉をしっかりと身に付けるということは大切だと思っています。だからこそ、親が率先して使ってあげるべきだと思います。できれば、ネット検索で済ますのではなく、紙の辞書や有料の辞書アプリを購入することをおススメします。子どもから「〇〇ってどういう意味?」と聞かれたときに辞書で確認してから、それをわが子に分かりやすい形で伝える。つまり、わが子の経験と結び付けて教えてあげる。このひと手間(情報の加工)が大切です。経験とつなげてあげることにより、理解度が一気にアップします。

 親が自分で辞書で調べてみると、辞書に書いてあることを読み上げるだけだと「子どもには伝わりにくいな」と理解するチャンスが生まれます。つまり、まだ辞書を一人で使わせるには早いなと理解するチャンスが生まれます。買い与えるだけではダメなのです。また、親にとってもメリットはあります。分かっていると思っていた言葉を勘違いしていたとか、別の意味があったとか、いろいろな発見があります。「へー、こんな意味もあったんだ、知らなかったな」というふうに子どもに聞こえる独り言を言って、子どもと共有すればいいのです。「あなただけが学ばなければならないのではなく、ママもパパも学び続けているんだよ」というメッセージが届けば、子どもにとっても心強いはずです。

 「辞書を使って、ママとパパに新しい言葉を教えてもらう時間がなんとなく好き」と感じさせてあげられると語彙は自然に増えていくのではないでしょうか。